ヴィスチャ!

進路と就職チャンネル

 このチャンネルでは、学生時代の終わりを意味する就職全般についてまとめています。
 就職難や企業選びの難しさといった学生を悩ます言葉が飛び交う中、何を知り、何を行動するかが大切であるといえるでしょう。この難関を乗り越え、自己実現を果たしましょう。

就職

資格試験と就職試験

 学生に限らず、有志の者が一定の条件を満たすことで、ある能力の認を定受けるための試験を資格試験といいます。英検、数検、漢検をはじめ、難関といわれる弁護士・裁判官資格を得るための司法試験や公認会計士の資格取得なども資格試験です。 他には、公務員になるための試験や一般企業への就職のために受ける就職試験なども一種の資格試験と考えられます。
 どの試験も、市販の教材で対策することができます。現在では、ビジネススクールなども多数あり、資格取得のためのさまざまな講座が用意されています。特に就職試験の内容は、一般教養と呼ばれる中学までの基礎学力と論理力を試す試験と、SPIと呼ばれる適性検査が大半の試験内容ですが、その対策は決して難しいものではありません。
 もちろん、就職試験の場合、上記以外に面接試験を課し、業界全般や業務に関わる情報をはじめ、面接官が最も関心が高いと言われる志望動機や学生時代に取り組んできたことなどを、端的に話せるよう準備しておくことが必要です。

公務員

国家資格について

 国家資格とは、法律に基づいて国が実施する試験(国家試験)などにより、個人の知識や技能が一定の段階以上に達していることを行政が認定した資格を指します。
 弁護士・司法書士・医師など、資格習得が業務遂行のための必須条件となっている業務独占資格や、中小企業診断士・建築士・理容師などの有資格者だけが名乗ることを認められている名称独占資格、宅地建物取引主任者・不動産鑑定士・土地家屋調査士など、特定の事業を行う際に法律で義務づけられている設置義務資格があります。これらは取得は困難ですが、国から職業的地位を保障され、社会的信用度も高いのが特徴です。
 このように、国家資格によって独占的に業務を行うことができるため、仕事が必ず存在するというのが、資格業の大きな特徴です。弁護士や医師、建築士といった資格は、大学や専門学校、高等専門学校など機関で単位を取得した上で受験する様式となっています。また、不動産鑑定士や中小企業診断士のように、特定の教育機関を経なくても受験できる国家資格も増えてきました。

日本の資格に関する一覧|wikipedia
勉強

SPI(適性検査)について

 SPI(適性検査)という言葉は、ここ15年くらいで有名になった比較的新しい言葉です。もっと以前からあったものですが、バージョンアップが行われ、単に知識を問うだけでなく、性格適性の要素が加えられ、さらには『社会関係的側面』『組織適応性』といった、会社組織の一員としての適性までもが測られる内容へと進化しているものです。
1973年に初期バージョンとして開発された『SPI』は、2004年には『SPI2』として性格適性検査が加えられ、2013年1月から『SPI3』として、組織での適応性や社会との関係性をも検査できるようになりました。
 現在では、さまざまな施設やウェブサイトで、適性検査対策が行われているようです。主に、言語能力(同意語・反意語や文節、文の並び替えや長文読解など)や非言語能力(理論を中心とした問題、算数・数学の文章題など)についての対策は充実しているといえます。
 しかし、多くの場合、これらの対策には料金が必要となります。SPIは多くの就職試験の中の1つにしか過ぎませんが、そのためだけに費用をかけることは決して得策とはいえないかもしれません。最も効果的な対策法は、高校までの算数・数学の教科書に目を通し、各分野の理論・理屈をしっかりと身につけることです。そして、SPI以降の試験に向けて時間をとれるようにすることが望ましいと思われます。

実験

SPIと理系離れ

 場合の数、確率、集合、割合の計算、装置と回路、不等式と領域…これらは次回の定期テストの範囲ではありません。SPI(総合適性検査)という、就職試験の1つに出題される項目です。これらの他に、速度算、表の読み取り、資料の読み取り、長文読み取り計算、通過算、整数の推理といった、やはり、小学校から高校で習う数学や理科の内容が並んでいます。
 現在、多くの高校では、文系・理系という名目で受講科目を絞り、授業を行っています。『より専門的に学習を進めるため』などの理由はありますが、多くの高校生にとって『科目を絞ること』=『勉強しなくていい科目を作ること』となりがちです。
 理系離れが早くも小学校のうちから指摘される中で、就職試験においては、いまだ数論的思考が求められています。その理由には、組織で物事が動く世界では、理屈や理論が欠かせないことが挙げられます。言い換えれば、理由もなく活動することを嫌う世界だといえます。
 このような論理的思考の度合いを測る上で導入されているのが、SPIというわけです。高校で文系を選択していても、算数が苦手で嫌いになりつつある小学生も、何を学ぶのかを把握しておく必要はありそうです。

大学

大学における成績と就職試験

 ある新聞記事に『就職採用時に、大学での成績を活用する企業』が公表されました。大学生にとって、大きな衝撃を与えた記事となっているようです。
 紙面には、成績の活用に対する企業側の意図は示されていませんでした。しかし、東洋経済オンラインにて、ある企業の採用責任者のメッセージが掲載されました。一部、引用いたします。
<引用開始>
 "当社には毎年1万人くらいの学生の方が応募してくれます。本当なら全員を面接したいのですが、実際に面接できるのは社内のパワーを考えると2000人が限度なのです。そこで仕方なく、市販のテストで、1万人の応募者を2000人に絞ります。
その結果、多くの学生がそのテストに合格するために、テスト対策をすることになります。学業や課外活動に力を入れるのは意味のあることですが、就活のための市販のテスト対策に学生の時間を使わせることに、意味があるとは思えません。(中略)
 しかし、結果的に、自社がテストを利用することで、学生にテスト対策をしろというメッセージを送っているのと同じ状況になってしまっています。同様に、面接で課外活動や自分のやりたいことを中心に話を聞くことによって、結果的に、課外活動や自分のやりたいことこそが就活において重要だというメッセージを送っていることになってしまっています。
 企業の採用手法は、学生への重要なメッセージですので、採用活動の中で学業に触れることは、企業にとっての社会的責任だと考えています。"
<引用終わり>
 企業にとって、大学在学中の成績は、学業に対し、どれだけ努力してきたかを示すだけではないようです。まだ入社したての若者にとって、自分の好みに合う仕事を任されることはなかなかないといえます。そのような時でも、与えられた仕事に対して全力で取り組めるのか、自分のできることを増やす努力をしようと考える人物かを、試す良い材料となるのが、成績表の位置づけだといえそうです。
 また、成績表を活用するからといって、成績良好でないと採用してもらえないのではないか、という不安も、上記のように、どう取り組んできたのかをきちんと話すことができれば、初めから就職活動そのものを諦める必要もないようです。
 企業側の採用に対する要望は、長く働いて、その会社の戦力となってもらうことにあります。つまり、様々な試験や成績表による評価を設定するのは、学生の評価の視点を増やしたいという考えに根ざしたものだということを知りましょう。少なくとも「成績が悪かった=絶対に採用をしてもらえない」と考える必要はなさそうです。